お伝えしたい『葬儀の知識』

2022.12.28

お葬式で大切なのは故人様を想う心:とあるラーメン屋さんからのご依頼

お葬式で大切なのは故人様を想う心:とあるラーメン屋さんからのご依頼

お葬式のスタイルは時代とともに変化していきます。昔は親族、友人、知人だけでなく、ご近所の人にもきていただき、大々的に行うお葬式が一般的でしたが、最近では家族葬や火葬式など身近な人だけで行うお葬式が増えています。

小規模のお葬式ではしっかりとお別れができないのではないか、お別れの時間が短くて後悔するのではないかと心配される方もいらっしゃると思います。しかし、お葬式で大切なのは規模ではありません。

お見送りをする側の心、故人様への想い。目には見えない大切なものがあるはずです。今回は、お葬式で本当に大切なものが何かわかる、印象深いエピソードをご紹介したいと思います。代表・近藤の心に深く刻まれたお葬式の話です。

 

【とあるラーメン屋さんからのご依頼】

平成23年の師走のことでした。上野駅からほど近い病院から「葬儀をお願いします」とご依頼がありました。

急いで病院にかけつますと、故人様の娘様がお一人で病室でお待ちでした。お話を聞いてみると、亡くなられた方はこの方のお父様でした。

他のご家族はいらっしゃらなかったのですが、ご家族でラーメン屋さんを経営されており、お母様と弟様はお仕事中でお店を抜けることができないとのことでした。

こんな時でも仕事なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれは、仕事熱心だった故人様のご希望、ご意思でもありました。故人様は何よりもお客様を最優先にされる
立派な経営者だったのでしょう。

お葬式の形式は「火葬式」でとのご依頼でした。ご火葬の当日も、娘様お一人の立ち合いの予定です。ご火葬の当日まで、安置施設で故人様のお体をお預かりすることになりました。

つまり、娘様を除いて、他のご家族は再び故人様とお会いすることはないのです。

私が運転する寝台車の助手席に娘様をお乗せして、病院を後にしました。娘様は助手席で大変に悲しんでいらっしゃいました。

ご家族で力を合わせてお店を切り盛りしていたのですから、気持ちのつながり、絆も強かったのだと思います。ご自身のことやお店に残ったご家族のことをお伺いしているうちに、こんな話になりました。

私 「お店はどちらですか?」
娘様「浅草の○○です」
私 「お店の前にお父様をお連れしましょうか?」
娘様「いいのですか?」「車の距離超過で予算が」
私 「自社の車なので大丈夫ですよ」
娘様「是非、お願いします」

そして私は車の方向を変え、お店のある浅草へと向かいました。ご家族が守っていたお店は、外まで行列ができるような人気のラーメン屋でした。

3時間ほど待ったでしょうか、閉店すると故人様の奥様、息子様、従業員の方々が次々と寝台車に駆けつけて来られました。

お店の駐車場に車を止め、ひとりひとり、心ゆくまで最後のお別れをしました。夜が明ける頃、最後のお別れに奥様が故人様の手をぎゅっと握り締めました。それが、今生の別れとなりました。

 

【大切なのはお葬式に関わる人の心】

今回は、たくさんの人をお呼びして行うお葬式ではありませんし、お通夜も告別式も行いません。直接火葬場で行う火葬式です。

時間もあまりかからずあっという間に終わってしまいます。しかし、それが寂しいお葬式かといったら、そんなことはまったくないと断言できます。

お父様を大切に思われるご家族の気持ちは、「仕事」という形であらわされており、それはしっかりと故人様にも伝わったはずです。

大切なのは故人様を思う気持ちであり、お葬式の規模は関係ないのです。大切にしていたお店の前で大切な人たちに見守られて旅立つ、こんなに心のこもったお葬式があるでしょうか。

もちろん、このお店は今でも繁盛しています。残された人たちに店主の理念が受け継がれているからです。

毎年この時期になると思い出す、今でも忘れることのできないお手伝いです。

 

【すべて自社で行うからこそできるきめ細かい対応】

通常、寝台車や霊柩車といった故人様を運ぶ車の料金は、走行距離によって違ってきます。距離が長くなるほど料金が加算されますので、予定していた道を途中で変えるのは難しいことです。

しかしさくら葬祭はすべて自社施行ですから、お客様にあわせた臨機応変な対応が可能です。マニュアルで仕事をしている会社には決してできません。このようなきめ細かい対応は、私たちだからこそできるという自負があります。

お葬式は誰のためにあるのか。それを考えたら、おのずと行動の指針は決まります。たった一度しかないお別れの時を、後悔しないように過ごしてほしい。私たち葬儀社が常に頭に置いておくべきことです。

本当に大切なものは何か。そのことを忘れてはならないと思っています。

Books

私の葬式心得

本書は、自分を「おくられ上手」に、また家族を「おくり上手」にする一冊として、これからの「理想的なお葬式」のあり方を提案していきます。
株式会社SAKURA 代表取締役 近藤卓司著「わたしの葬式心得」幻冬舎出版より発売中です。アマゾンで好評価5つ星。

ご葬儀のご相談は24時間365日

0120-81-4444