なずな日記

2019.05.15

義母の葬儀に思ったこと

義母の葬儀に思ったこと

おいちゃんのお母さんが身罷ったのは、5月の春爛漫の時期でした。亡くなる2カ月ほど前から、食が細くなってきたので、元気になるまでちょっと、のつもりで入院させたのです。

 

でも、もう90歳。お義母さんは枯れ木が朽ちるようにして、徐々に弱っていきました。そしてある日の早朝、病院からお義姉さんにお母さんが亡くなったと連絡があったそうです。私の家からその病院は、近かったので自転車で行きました。

お義姉さん達はちょっと遠い所にお住まい…それなのにすでに病室にいました。イネ子姉さんのご主人、イネ子姉さん、フナ子姉さん…しまった!後れを取った!近いからと油断して、ゆっくり朝ごはんなんか食べていたのが悪かった!

 

上のお義姉さん、イネ子姉さんが、お義母さんの開いてしまう口をなんとか閉じようとしています。

「どうしても開いちゃうのよ」

「亡くなった人はそういうもののようですよ。ラストメイクの人がきれいにしてくれますよ」

私は言いましたが、イネ子姉さんはこの場で何とかしてあげたいと思ったのでしょう。しばらくあれこれしていました。

 

フナ子姉さんがすぐにさくら葬祭に連絡すると、社長の近藤さんが迎えに来てくださいました。

その場で今後の打ち合わせ。手際のいいものです。

「それでは、お連れしますね」

近藤さんは、お義母さんを車に乗せました。葬儀までの数日、お義母さんを預かってもらうことにしました。

 

葬儀は、一日葬にしました。故人が高齢だと、参列者も高齢の場合が多いものです。高齢者には、夜の外出となるお通夜は肉体的な負担もあり、参列者も多くはないことが予想されます。そういった場合には、一日葬を選ぶようです。

しかし、お母さんは介護施設に入居していたので、介護職員の方から、仕事の終わった後に最後のお別れをしたいとの希望がありました。そこで、一日葬前夜の葬儀会場に来ていただき、最後のお別れをしました。

 

介護職員の皆さんには、お世話になりました。私達も感謝していますが、お義母さんも感謝していることでしょう。

 

一日葬当日、親族は葬儀の1時間ほど前に会場に着くようにします。親族控室に荷物を置いて、葬儀スタッフと打ち合わせをしました。今回、私も葬儀喪主の一人に名を連ねましたが、ここはやはり実の娘であるお義姉さんたちが主役です。おいちゃんの時より肩の荷が軽いと感じました。

お義姉さん達が近藤さんや、葬儀スタッフと打ち合わせをしています。

近藤さんが、一人の背の高い男性スタッフを紹介してくれました。見たことがあるような、ないような…

「ご主人の葬儀の時担当だったWですよ、憶えていますか?」

えっ!Wさん!あの落ち着いたイケメンの、スレンダーな男性…いや、あの時は痩せすぎで、今の方が標準体型になったとも言える…

「ふ、太りましたね」

「わかりますか?!」

判るよ!でも、一目見た時はWさんだとはわかりませんでした。

後でこの話を友達にすると、友達は言いました。

「ガラスの心を持った青年だったら、そんなことを言ったら落ち込んでしまうよ」

私は、アハハと笑いました。

「大丈夫!ガラスの心を持った青年は、葬儀社なんかで働けないもの!」

 

きっと彼は、仕事熱心なのであろう。葬儀社ならば24時間体制、当然のことながら当直もある。腹が減っては戦が出来ぬ。だからいい仕事をするために、夜食も食べるであろう。仕出し屋さんの料理の試食も大事な仕事のうち。そうなれば、残さず食べて厳しく味のチェックをせねばならぬ。すべてはプロ根性でやり抜くのみ。

W青年に大いなるエールを送ります。お仕事、頑張って!

 

さて、お義母さんの葬儀・告別式は滞りなく終了しました。お骨や遺影は、お義姉さん達が持って行きました。

 

やはり身内の葬儀は大変なこと。無事終わってホッと一息つきます。

やれやれと家に帰って、おいちゃんに報告。

 

おいちゃん、お義母さんがそっちへ行ったよ。もう会ったかしら?

そう言えば、お義母さんとお義父さんは、仲が良かったね。晩年、お義母さんに会うといつも言っていたよね。

「お父さんはどこに行ったのかしら?」

おいちゃんはニコニコしながら、はぐらかす。

「さあ、どこだろうね?」

「寝てるの?」

私も調子を合わせます。

「そうそう、寝てるの!」

何もわからなくなってしまった後でも、「お父さん、お父さん」って言っていたって、介護施設の職員さんが。

 

よく、最後まで忘れないのは息子の名前だっていうけど、お義母さんが最後まで思っていたのはお義父さん。

 

私に認知が来て、誰かを思うとしたら、絶対においちゃん。晩年のお義母さんのように。

 

 

Books

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