葬儀マナーの実際

2022.03.12

お葬式のマナー ~参列者の立ち居振る舞いについて

お葬式のマナー ~参列者の立ち居振る舞いについて

お葬式にはさまざまなマナーがあります。あまり経験がなくてよくわからないという方も多いと思いますが、服装やお香典、数珠に関することなどはマナーの本を見ればわかりますし、わからないことがあってもインターネットで検索すればいくらでも答えは出てきます。

しかし、お葬式が何のためにあるのかを考えた時、形式的なマナーを知っているだけでは足りない場合があります。本当に大切なのは、どう振る舞うかということだけではなく、ご家族の気持ちに寄り添うことなのです。

今回は、喪主様に負担をかけないための参列する方の心がけについて考えてみたいと思います。

 

【お葬式は故人様を偲ぶためのもの】

お葬式は、ご家族や参列された方が故人様を偲び、悲しみを分かち合いながら、それぞれが新しい人生を歩んでいくために必要なものです。

ここで、たとえばのお話をいたします。

さくら葬祭は音楽葬が有名ですので、せっかくですから音楽葬を、とご希望されるお客様もいらっしゃいます。
しかしながら、生演奏をする際、喪主様がお困りになることがございます。

それは、ご家族ではないお知り合いの方が、音楽葬と聞いて「お葬式の場で演奏してもいいですか?」とおっしゃることです。

喪主様はプロの演奏家の生演奏を希望されているのですし、ご家族以外の方の演奏では式全体の雰囲気を崩してしまう恐れがあります。お葬式にはコンセプトがありますから、飛び入り参加のような形で参加するのは難しいでしょう。

また、仮に演奏するにしても、あの機材が必要だ等のリクエストをいただくこともあり、演奏したいというお心はありがたいのですが、その分喪主様の負担が増えてしまいます。

喪主様がわんわりとお断りをしても、絶対演奏するといって聞かない方もいらっしゃいます。そのような時は、葬祭ディレクターが喪主様に代わってお断りすることもございます。

これでは、なんのため、誰のためのお葬式だかわからなくなってしまいます。参列する側のマナーとして、喪主様に負担をかけないということも故人様を偲ぶことにつながるのではないでしょうか。

中には、自分の生徒さんを引き連れて演奏する場を見せたいとおっしゃる参列者の方もいらっしゃいました。

しかしそれでは、お葬式が故人様を偲ぶ弔いの場ではなく、参列者の方がただ人前で演奏したいという、発表の場になってしまうこともあると弊社代表の近藤は危惧しています。

 

【どうしてお葬式のマナーが必要なのか】

ここで、なぜお葬式にマナーが必要なのか、もう一度考えてみましょう。

最初にお話しした通り、お葬式は故人様を偲ぶ場です。そこでは、なによりもご家族の気持ちが尊重されなくてはなりません。

それなのに参列者の方がご家族を差し置いて、「私は悲しい」という気持ちを主張されることが果たして良いことなのでしょうか。故人様を思う気持ちは大切ですが、その気持ちをお葬式の場で全面に出して良いことにはならないでしょう。

冠婚葬祭は、その場にあったマナーが必要なのです。

 

【喪主様の想いに寄り添うのが参列者のマナー】

参列する方は、自分の悲しみを全面に押し出すのではなく、「参列させていただく」という謙虚な姿勢でいることもとても大切なことです。

参列する際、「弔問させていただいてよろしいでしょうか」という、その謙虚な気持ちが、そもそもマナーの生まれた所以ではないでしょうか。

喪主様は、「お世話になりましたので、ぜひいらしてください。」という気持ちがございます。

たとえば、「家族葬」と表現してはいても、その参列者の方が本当にご家族と同じような気持ちになる方であれば、ぜひいらっしゃってほしい、一緒に故人様を偲びたい、という気持ちになるでしょう。それが「家族葬」という意味合いになることもあります。

さくら葬祭代表の近藤がポリシーとして掲げている、日本古来の茶湯の言葉である「一座建立」は、お葬式の場にも通じる考え方です。

「一座建立」とは、茶道において、亭主と招かれた客の心が通じ合い、一体となること、そしてその場が和み心地の良い状態になることです。

お葬式も同じことで、みんなが協力してひとつのものを作り上げていこうという気持ちがあってこそ。近藤は、それがないと大切な式がうまくいかないという思いを持っています。

たとえば、ひとりだけ参列が遅れてしまう方がいらしたら、ご家族はその方がいらっしゃるまでずっと待っていないといけません。

地域によっては、翌日にお通夜をやる習慣がありますが、お通夜は何時にきてもいいものだと思ってる人も多いのです。しかしそれも、式を行うご遺族の立場にたって考えれば、自ずとどうすれば良いかもわかりますね。

そういう意味では、喪主の方の思いに寄り添って、参列の方も邪魔をしないようにした方が良いと近藤はいいます。

さくら葬祭は、ご家族の気持ちに寄り添い、後悔のないお葬式にしていただくため、そういうった参列の方にも極力ご協力をいただけるよう、説明をしていこうと考えています。

そしてご理解をたまわれるようにして、みなさんが安心してお葬式を出来るように心がけています。

 

Books

私の葬式心得

本書は、自分を「おくられ上手」に、また家族を「おくり上手」にする一冊として、これからの「理想的なお葬式」のあり方を提案していきます。
株式会社SAKURA 代表取締役 近藤卓司著「わたしの葬式心得」幻冬舎出版より発売中です。アマゾンで好評価5つ星。

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